【報酬が支払われない…?!】フリーランス兼司法試験合格者が解説!発注者とトラブルになった際のフリーランス法の活用方法

ポートフォリオ集

フリーランスとして働く中で、「納品したのに報酬が支払われない(報酬不払い)」「当初合意した額よりも少ない報酬が支払われた(報酬減額)」等のトラブルに直面したことはありませんか?
特に、個人で仕事を請け負うフリーランスは、発注事業者とトラブルがあっても泣き寝入りしてしまいがちです。
そんなときに頼りになるのが2024年11月から施行された「フリーランス法」です。
本記事では、現役フリーランスでもある筆者が、報酬不払い、報酬減額に遭遇してしまった際に取るべき対応について解説してきます!

フリーランス法とは

個人であるフリーランスと、組織である発注事業者の間における交渉力などの格差、それに伴うフリーランスの取引上の弱い立場に着目し、フリーランスが安心して働ける環境を整備するために制定された法律になります。

報酬が支払われない(支払遅延)場合には…?

フリーランス法は、発注事業者に対して、報酬支払期日の設定と期日内の支払をするよう義務づけています。
具体的には、発注事業者は「発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払」わなければなりません。
したがって、納品後(業務完了後)60日を経過した時点で報酬が支払われていないのであれば、その発注事業者はフリーランス法に違反していることになります。

当初合意した額よりも少ない報酬が支払われた(報酬減額)場合には…?

フリーランス法は、発注事業者の禁止行為として、報酬減額を定めています。
報酬減額とは、フリーランスに責任がないのに、業務委託時に定めた報酬の額を、後から減らして支払うことです。名目や方法、金額にかかわらず、あらゆる減額行為が禁止されています。

  • 「フリーランスに責任がないのに」の具体例としては以下の通り。
    • (ア) フリーランスの責めに帰すべき理由(瑕疵の存在、納期遅れ等)があるとして、受領拒否又は返品することがフリーランス法違反とならない場合に、受領拒否(納品拒否)又は返品をして、その給付に係る下請代金の額を減ずるとき。
    • (イ) フリーランスの責めに帰すべき理由があるとして、受領拒否又は返品することがフリーランス法違反とならない場合であって、受領拒否又は返品をせずに、親事業者自ら手直しをした場合に、手直しに要した費用など客観的に相当と認められる額を減ずるとき。
    • (ウ) フリーランスの責めに帰すべき理由があるとして、受領拒否又は返品することがフリーランス法違反とならない場合であって、受領拒否又は返品をせずに、瑕疵等の存在又は納期遅れによる商品価値の低下が明らかな場合に、客観的に相当と認められる額を減ずるとき。

誤解を恐れずにいえば、契約時(発注時)に、瑕疵がある納品物、すなわち、フリーランスと発注事業者で合意した納品物に求められるクオリティを大きく下回る納品物またはフリーランスと発注事業者側で合意した条件に違反した納品物を納品したなどの事情、納期より遅れて納品したなどの事情がなければ減額を行った発注事業者はフリーランス法違反になります。

一方で、フリーランスの責めに帰すべき理由(瑕疵の存在、納期遅れ等)があったとしても、「受領拒否又は返品することがフリーランス法違反の場合(=納品後確認すれば直ちに発見できる瑕疵を納品後すぐ指摘せず、数週間後に発注事業者が受領拒否すると言い出したよう場合など)」であれば、報酬減額はフリーランス法違反であると考えられます。また、フリーランスの責めに帰すべき事由があったとしても減額が相当な額でなければ、減額を行った発注事業者はフリーランス法違反になります。

違反申出窓口で申し出よう!

フリーランスは、発注事業者にフリーランス法の違反と思われる行為があった場合は、行政機関(公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省)に対してその旨を申出することができます。

https://www.jftc.go.jp/soudan/shinkoku/freelance.html
これらの行政機関が当事者同士の話合いの仲裁や和解など、民事的な紛争解決のための仲介等を行うことはないのですが、公正取引員会は、フリーランス法に違反する事実を調査し、違反する事実がある場合には違反を是正するよう措置を講じます。
この違反を是正する講じる措置の中には、公正取引委員会による指導、勧告があり、勧告の際は必ず社名が公表されます。
フリーランス法に違反していることがメディアに公表されてしまうという、レピュテーションリスクには、かなりのインパクトがあります。

上で述べたような社名公表のインパクトにかんがみると、実際は、違反申出窓口で申出ますからね、と発注事業者に伝えることで報酬を支払ってもらえる可能性が高まるのではないかと考えられます。

まとめ

もし報酬不払・報酬減額といったトラブルに直面した場合には、まず発注事業者に、発注事業者が上で説明したようなフリーランス法上の義務に違反していることを伝え、適切な対応を求めましょう。それでも解決しない場合は、「違反申出窓口」を活用することを伝えたり、法的な措置を検討することが重要です。

トラブル時の適切な対応を理解しておくことでフリーランスとして安心して仕事を続けられるかと思います。フリーランス法を正しく理解し、トラブルに巻き込まれないよう対策を講じることで、より健全な取引関係を築いていきましょう。

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